三杯目 プロのヒップアップ、趣味のパレスマンション


 誰もが経験する、仕事のマンネリ化。これが音楽に駆り立てたきっかけだったと島崎さんは語る。

人を笑わすことを職業に決めた島崎少年は、多くの苦労をしつつも、押すに押されぬアイドル的芸人のヒップアップとしてスターダムにのし上がった。時はヒップアップ全盛期だ。しかし、大好きなお笑いでも、「芸人」と肩書きがつけば立派な仕事。気がつけば溜まる一方のストレスに悩まされた。

うっぷんを晴らしたい!じゃあ何がしたいのだろう?自分は人を笑わすことと、音楽が大好きじゃないか。曲を作れば、リフレッシュできるし、新しいジャンルを真剣に取り組めば本業にも、今風に言えばイイ感じで跳ね返ってくるんじゃないか?

 そんな気持ちでひた走ったメンバーを集めて結成したバンド、その名も『パレスマンション』。趣味でやるといっても、当時のロック色を取り入れた凄腕ぞろいのバンドだ。

「趣味のバンドだから、メジャーデビューして有名になることは目的ではない、趣味のバンドだから人の歌は歌わない、趣味のバンドだから俺が毎週の練習までに一曲を作ってくる。」

毎週火曜には、自身が曲を持ってスタジオに現れる。それと、バンドはお金がかかる。スタジオ代、衣装代、仲間との飲み代(これが一番多かったりして?)、ヒップアップで稼いだ給料のほとんどを費やした趣味だった。

 パレスマンションは約3年から4年続けた。この間作った曲は70〜80曲だそうだ。多くのお金と時間をかけて夢中になった。「音楽は財産」。島崎さんは時々鼻歌を交えて語っていた。